こんにちは。幅1.8m、奥行き10mの三階建て狭小住宅に住むemmaです。
本日は、狭小住宅を(できるだけ)広く見せる工夫についてお伝えします。
土地そのものが狭いのでフロア全体がコンパクトな空間になってしまうのはもうどうしようもありません。
ですが、その内部空間をどのように仕切るか、どうデザインするかによって実際よりも広さを感じる空間にすることは十分可能です。これは幅1.8mの家に毎日暮らしている私が自信を持って言えることです。
「狭い」というのは主に視覚から感じているものですよね。視覚的にゆとりがあると認識できるように内部空間をデザインするヒントについてお話していきますね。
ちなみに私は家の中の移動中に狭いなと感じることはあっても、じっとしているときに狭さを感じたことはないです。体感は狭いけど視覚的には狭くない、そんな感じです。
狭小住宅を視覚的に広く見せる工夫6つ
壁や扉を使わない
もともとの総空間が狭いのであれば、できるだけその空間内は視線を遮る壁や扉で仕切らないようにしたいものです。
完全に区切った小さな個室ばかりになると閉塞感が出てしまうので、使い分けたい場所でも空間を緩やかに区切ることがおすすめです。
- ガラスや半透明の素材を使う
- 背の低い壁や家具で仕切る
- 段差で区切る(スキップフロア)
- 可動式の区切りを使う(カーテン、パーティーション)
もちろん音や視線などのプライバシーや臭いなどが完全に遮断できるわけではないので、どこまで許容できるかを考えながら設計する必要があります。
階段を工夫する
2階建て住宅以上の場合にどうしても外すことのできない階段。けっこうなスペースを食ってしまう設備なので、階段を居室にうまく溶け込ませることもひとつのアイデアです。
狭小住宅の場合は、廊下がなく、階段室と居室の間の扉がない場合も多いですよね。部屋から見えているので、ただの殺風景な移動手段にせず、同じ空間の一部として見た目や使い方の工夫ができるといいでしょう。
- スケルトン階段にして見た目の閉塞感をなくす
- 階段の素材を工夫してインテリアのアクセントにする
- 飾り棚、窓などを効果的につけて視線を誘導する
外の空間とつなげる
家の中から外へ視線が抜けていれば、実際の家のサイズよりも広がりを感じることができます。
そのためには、窓を大きく作ること、窓をカーテンやブラインドで閉じないことがおすすめ。
窓にカーテンをつけないことについては、外向きの窓では間取りや周辺環境、精神的な面でなかなかおすすめしがたいですが、中庭を作ってあげるとかなり効果的かなと思います。
天井を高くする
水平方向がどうしても狭くて視線が壁にぶつかってしまう場合には、垂直方向への抜けを作ってあげると広さを感じることができます。
天井全体を高くしたり、一部を吹き抜けにしたり。特に、ゆったりくつろいだり団らんしたりするリビングやダイニングは天井を高めにしておくことをおすすめします。
なお、スキップフロアの技法を活用することで、必要に応じて床・天井レベルを変えて変化のある空間づくりができるので、あわせて検討してみるのもいいと思います。
壁を暗い色にする
えっ?壁の色は白いほうが広く見えるってみんな言ってるよね?
うん、そうですね。だいたいのところでそう言っていると思います。
白系は膨張色だから、広く見えるっていうことですよね。反対に暗い色は収縮色だから狭く見えるんじゃないか?そう思いますよね。
それはもちろん正解なのですが、かなり狭い部屋や家になってくるとまた少し事情が違ってくるかなと思っています。
前進色と後退色って聞いたことありますか?
言葉の通りなのですが、白っぽい色は前に進んでくるように見えて、黒っぽい色は後ろに下がって、沈んでいくように見える。感覚的になんとなくわかりますかね?
我が家の場合は最大幅が1.8mと大変狭くなっていて、両壁は手が届きそうなほどでした。ここに白い壁を持ってきてしまうと、壁が迫ってくるような感じがして逆に圧迫感を感じてしまいそうです。
我が家の壁は暗いブルーグレーで、天井と床に杉板を貼っています。壁より天井や床が明るく、デザインがあることで視線が壁でなく上下に向かい、幅の狭さを感じづらくなりました。
我が家の場合はかなり暗いので人を選びますが、やや落ち着いた色合いの壁にしておくのはデザイン的に嫌いでない方にはおすすめですよ。
ついでに外から中を見たときも暗いのであまりよく見えません(照明をつけたら別ですが)。プライバシー的な観点からもまぁ悪くはないのかなと感じています。
昼間と夜で雰囲気がぐっと変わるのも暗め壁色の特徴ですね。照明もぐっと映えます。あとは適当なものを置いといてもなにげにおしゃれっぽく見えるのもいいところ!
陰影で奥行きを出す
狭小住宅にとって光は重要なポイントです!
小さな空間でも、自然光や照明で陰影をつけることで広がりや奥行きを感じさせることができます。均一に明るくしてしまうのではなく、明るいところと暗いところのメリハリをつけるといいでしょう。
素敵だなと思う雰囲気の住宅は照明に工夫がされているはず。間取りなどに比べて窓の配置や照明計画はおざなりにされがちですが、どんな空間になるかは光の取り入れ方次第で大きく変わってくるので、たくさんの建築写真などからヒントをもらって自分の家の計画に取り入れてみましょう。
- 照明の位置を工夫する
- 間接照明やスポットライトを組み合わせる
- 陰影が出しやすい壁や天井のデザインにする
- 天窓や明かり取りの窓を計画する
モデルハウスなどを見に行く際には昼間だけではなく夕暮れ時にも行ってみるのは必須ですよ。照明計画によりどんな空間づくりがされているか、きちんと確認しましょう。家でくつろぐ時間は夜のほうが長いはず。こんなイメージじゃなかった…と思うことがないようにしましょう。
家具のデザインを工夫する
建築時に作りつける家具や設備、また後から自分たちで設置する家具もデザインを厳選することで圧迫感を減らし、部屋を広く見せる効果を出すことができます。
具体的にはこんなことに気を配るといいでしょう。
- 華奢なデザインを選ぶ
- 足元が開いているデザインを選ぶ
- オープンタイプの収納を選ぶ
- 背が低いデザインを選ぶ
注文住宅であればハウスメーカーで標準仕様としているものを見直してみるのもありです。シューズボックスやクローゼット、ドレッサータイプの洗面台などは通常床から天井近くまでありますが、場合によってはここまで必要ないこともあります。変更することでコストが上がることもありますので予算に応じて検討しましょう。
視覚効果を味方につけて狭小空間にもゆとりを
いかがでしたでしょうか。
狭小住宅を広く見せるためには「仕切り方」「色使い」「デザイン」を工夫して視覚的な効果を得ることが重要です。
視覚的な広がりを得ることで、心理的な圧迫感や不満を軽減することができますよ。
概念的なお話でなかなかお伝えするのが難しい話ではありますが、ぜひ家だけではなくカフェや飲食店、美術館など、工夫された空間づくりをたくさん体験して、自分たちの家づくりに落とし込むことをおすすめします!