狭小住宅を建てた中でいちばんおすすめの間取りはありますか?
ありますよー、じゃじゃん!それは「中庭」です!
こんにちは。東京都内で狭小住宅暮らしをしているemmaです。我が家の土地は9坪以下、間口2.5mのうなぎの寝床状という厳しい土地形状でしたので、狭さをクリアするためのあらゆる工夫を盛り込んだ注文住宅を設計してもらいました。
その中でも、これは作って良かった!という間取りのナンバーワンが「中庭」なんです。今回は中庭ってどんなものか、中庭の何がよかったかなどをお話していきますね。
中庭とは?豊富な役割で都市暮らしにおすすめの間取り!
中庭とは、建物や壁に囲まれている、屋根がない庭のことを指します。家の端に設置されるベランダと違って、家の内部にあったり、端にあっても天井まで壁で覆っているのが特徴です。
都市部の場合には敷地面積が狭く、道路や隣家との距離も近いため、プライバシーを守るのが難しいですよね。そんな場所で、家の内部にある中庭は大活躍します。
また、屋根がない空間は建築基準法上の床面積に参入されないので、建蔽率・容積率上の制限が厳しい場合に床面積を増やせて狭小住宅にはとても嬉しいポイントです。
一口に庭と言っても様々な役割を果たしてくれる優秀な中庭。建物の内部にあり壁に囲まれていることによるメリットがたくさんあるんですよ。
内と外のいいとこどり!中庭をつくるメリット
風と光を取り入れられる
狭小住宅では、南向きの窓であっても道路や家が近すぎて窓やカーテンが開けられない、昼間でもレースカーテンをかけっぱなしになってしまうこともあります。日差しが強すぎる、というときもありますよね。
中庭は家の内部にあるためカーテンやブラインドが不要、いつでも窓を開けたり自然光をしっかり取り入れることができます。開口部が上部だけなので、それほど強い光が差し込むことはなく、やわらかい明るさを得ることができるのもいいところです。
また、家と家の間隔が狭くぐるっと囲われていて、開口部以外からは十分な採光ができないことも多いものです。
家の内部に中庭を設けておけばそこから光や風を取り込むことができます。
視線や音を気にせず外遊びができる
外からの視線を完全に遮れるのが中庭のいいところ。
普通の庭であれば塀があっても道路やご近所の視線が気になりますよね。もちろん大騒ぎはできないし庭でBBQなんてのも煙や臭いの関係上なかなか難しいものです。
ですが家の内部にあって上部しか開口がない中庭であれば、音や臭いにあまり気を遣わず家の中の延長として使うことができるでしょう。
私は夏の夕べに猫と一緒に中庭に出てビール飲んでだらだらするのが好きだよ。
開けっ放しでも防犯上の心配がない
気候のいいときには外の風を入れながら寝たいな…と思っても、さすがに外に面している窓を鍵をかけずに開けっぱなしにしておくのは怖いなという方もいらっしゃるでしょう。
家の内部にある窓だから、開けたままや網戸だけにしておいても問題なし!
鳥とか虫とかぐらいならウェルカム?
空間が広く感じられる
延床面積の都合上で居室自体が狭くなってしまっても、中庭と繋げることで、視覚的な広がりを作ることができます。
ポイントは居室の床と中庭の床のレベル(高さ)を合わせておくこと。視線がつながって先まで伸びることで、広さを感じることができますよ。
いろいろな部屋からアクセスできる
間取り次第になりますが、複数の部屋に繋げておくことで、どの部屋からも中庭に出ることができます。家族が出会ったり集まったりするハブのような場所になりそうですね。
中庭をぐるっと居室が囲う間取りって憧れる…。敷地が四角ければやってみたかった!
ペットや子供を出しても安全
四方を壁に囲まれた中庭であれば、ペットや子供が間違って外に出てしまう恐れもありません。壁が天井レベルまで立ち上がっていれば、さすがに猫もジャンプできないですよね。
我が家では猫を飼っていますが、前の家のベランダでは猫が簡単に手すりに登ってしまえたので、ベランダに出ないように気を配っていました。今では何の心配もせず中庭に出せるようになったのがいいですね。
完全室内飼いの猫も外の風を浴びたり日光浴をするのがとても好きそう。我が家の猫たちは中庭の前のガラスに座って窓を開けろとにゃあにゃあうるさいです(笑)
ちなみにサッシを開けられる猫もいますが、開けて出ていくのはいいんだけど戻ってきたら閉めてほしい。。
後悔を避けるために。覚えておきたいデメリット
費用が高くなる
家の形状が複雑になり、外壁・窓が増えます。また、防水や耐震など構造的な配慮なども必要になります。同じ場所を単純に部屋にするよりも費用は増えてしまいます。
家を作るとき、シンプルな箱型形状が一番コストが安いんだよね。
断熱効率が下がる
中庭と部屋を繋ぐのはガラス窓。壁に比べ断熱性の低い素材で外界に接するため、当然暑さ・寒さが伝わりやすくなります。
断熱性能を第一に考えるのであればNGでしょうか。ただ、家の外側をクローズにし、内窓だけをつけるという手法はある意味断熱にはなるのかなとも思います。
樹脂複合サッシなどを使えばさほど気にならないかもしれませんね。
樹脂複合サッシがまだ高い時代に建てた我が家は、アルミサッシ、スチールサッシで生きております。
窓掃除が大変
中庭に面している窓は大開口になることが多いですし、カーテンをつけないので、日常的に窓がむき出しになっています。視線が集まることが多い中庭なので、窓が汚れていると気になるんですよね…。
几帳面な方は大きな窓を何枚も頻繁に掃除しなければならなくなり手間が増えるでしょう。
わたしもね、掃除しないとなとは思っているんですけどね…。あんまりやってないですね。。
雨漏りのリスクがある
中庭は屋根がないことが条件になるので、必然的に最上階に設置することになるでしょう。(そうでなければただのベランダ)
2階建てで2階部だけに中庭を作る場合は、中庭の下は通常の居室になりますよね。
屋根のない中庭には当然雨が降りますし、寒ければ雪も降ります。排水がうまくいっていなければ、下の階に水漏れしてしまうリスクもあります。
ちなみに我が家はありましたよ、中庭からの水漏れ…。
夏・冬は部屋として使えない
気候のいい時期は中庭に出てくつろいだり食事したり、出なくても窓を開けて外の空気を感じながら部屋で過ごすことができます。
しかし真夏や真冬になるとさすがにそれはできません。光は取り入れられるし空間の広がり効果は得られますが、外に出るという使い方はほぼしなくなるでしょう。
蚊や虫がやってくる
中庭はウッドデッキにする方が多いと思いますが、土仕上げでないにせよシンボルツリーを植えたり、ガーデニングをする方も多いのではないでしょうか。
木や園芸物に寄って来る虫、蚊などと無縁でいることは難しいでしょう。通常の庭と比べて居室との距離が圧倒的に近く、窓を開ける頻度も高いため、居室に虫や蚊が侵入しやすくなってしまいます。
緑の手の方には中庭でのガーデニングもいいですが、そうでない方は虫に強い植物だけにするのをおすすめします!
我が家はサボテンぐらいしか置いてません笑
家の形状によって使い分けたい中庭のレイアウト
建物形状によって、向いている中庭のレイアウトは異なります。中庭をどこに配置するかによって、生活動線も異なってくるので注意が必要です。
また、「家の内部に置く」という性質上、床面積・形状によっては中庭を作るのが難しい場合もありそうです。端に置いてしまえばただのベランダに近くもなりそう。(それでもいいけど、なるべく視線の抜けは多いほうが楽しい中庭になりそうです)
我が家のように狭小、うなぎの寝床タイプの土地形状であれば、町家型に建物の真ん中に配置するのは超おすすめですよ。ただし、中庭を突っ切る動線が発生するので、そこをどうするかは考えたほうがよさそうです。
我が家の場合は庭を通るルートとは別のルートもありながら、庭を突っ切る移動も普通にしますよ。トイレに行くのに近道だから…(笑)
どこと繋げる?おすすめ中庭レイアウト3選
ここで!突然ですが、私のおすすめ中庭レイアウトをお伝えしますよ。
どの部屋と中庭を隣接させるのがいいか、個人的な見解から発表いたします!
- 王道!リラックス空間が広がる「リビング+中庭」
- 自然光で目覚める気持ちよさ!「寝室+中庭」
- 半露天風呂の贅沢!「お風呂+中庭」
我が家の場合は中庭の2辺が部屋に接しているので、2と3を体験しているのですが、とても快適ですよ!
実際まぁ、どこに置いても中庭いいだろうなぁって思うんですよね。皆さんにもマイベストな中庭レイアウトを探してみてほしい!
メリットもデメリットも大きな中庭。万全な設計・施工でリスクを減らそう
個人的には中庭作るために注文住宅を建てるべきとぐらい思ってしまう、私にはとってもおすすめの間取りですが、リスクやデメリットもけっこう大きいです。
一番もったいないのは、お金をかけた割に満足度が低くて、「やっぱり普通の部屋にすればよかった…。」と思ってしまうこと。紹介したようなデメリットの中に、どうしても許せない!というものがあったらやめておいたほうがよさそうです。
中庭のある家が気になったあなたは、中庭があったらどんな生活になりそうかな、そこで何をしたいかななど、ぜひいろいろと想像力を働かせてみてください。中庭のあるモデルハウスを見学に行ってみるのもおすすめですよ!