狭小住宅は敷地面積が狭いから3階建てになりがち。でも3階建てはやめとけ!ってよくネットとかで見るんだけど…。老後大変だからとか。実際住んでる人はどう感じてるの?
床面積を広げることができるので、狭小土地への住宅設計にはほぼ必須の選択肢となっている3階建て。しかしながら使い勝手が悪い、コスト的に見合わないという評価も見かけます。
私も家を建てるとき「狭小住宅」で検索すると関連ワードに「後悔」「3階建て やめたほうがいい」とかいうものがくっついてきて、まぁあまり真剣に読んだことはなかったんだけれども、実際に住んだことがなかった側からするとあぁそうなのかな…とも思っていました。
そうはいっても建坪6坪の狭小土地に建つ建物、せっかくなので法規的に許す限りの高さまで建てたい!ということで我が家は3階建てを選択しました(プラス半地下も掘っちゃった)。
実際に3階建て狭小住宅に住み始めて早10年。後悔しているかというと、
3階建て自体に後悔は全くありません。むしろ狭小住宅のデメリットをしっかりカバーしてくれててありがたい!
まぁ、他の部分では後悔もありますけれどもね…。てへへ。
なので、これから3階建てを建てるか悩んでいる、という方に、3階建て大丈夫だよ!という話をしたいと思います。
狭小3階建てで後悔すると言われるポイントって?
ネットなどでまことしやかにささやかれている、狭小住宅3階建ての後悔ポイントについて。
- 階段の上り下りがきつい、老後が大変
- 階ごとの日当たり、室温の差が激しい
- 上階の水回りは水圧不足、水漏れが不安
- 生活上での移動が多く大変
- 大型家具の搬入・移動が大変
- 建築費が高い、構造計算のコストがかかる
このあたりかなぁと思いますが、
これらすべて、まぁごもっともではあるかなと思います。嘘ではないな、という感じ。
だからといって、それがすべてデメリットとして実感しているかというとそうではありません。下でいっこずつ見ていきますね。
狭小3階建てに悔いなし。10年住んだ私の感想
階段の上り下りはすぐ慣れる
現時点で足腰に不安がない方なら大丈夫。住んで半年もすれば慣れます。
確かに最初はきつい。筋肉痛になりました。
そして老後。老後は確かにきついかもしれませんが家を建てる段階で老後まであと何年ありますか?
老後のためより今の生活に合った家を持つほうがよいでしょう。
階ごとの日当たり、室温の差が激しい
これは確かにありますねー。夏、冬はやはり顕著に感じます。
要するに上が暑くて下が寒い。上が明るくて下が暗いという問題です。
ただこれも考え方次第。私は戸建て2階建てとマンションに住んだことがありますが、そういうものなら室温問題がない、というわけではないですから。
3階があろうがなかろうが1階は寒いですし、2階はそれなりに暑いです。吹き抜けを作ると寒いとか暑いとか言いますが、むしろ上下の空気を攪拌して緩和できるのでいいと思いますよ。
上階の水回りでも3階程度なら水圧問題は感じない
我が家は3階に水回り(風呂トイレ洗面洗濯機)を配置したので、水圧不足があるかな…と心配していましたが、現在のところ全くありません。
水漏れしたら上階のほうが確かに大変だろうなぁとは思いますが、まぁどの階でも大変は大変だから。。
あ、ちなみに我が家は在来風呂にして水漏れしましたので、このあたりはご注意いただいたほうがいいかもです。
移動の多さは間取りでカバーできる
日々の生活で移動が大変かどうかも動線次第、間取り次第です。
3階建てのプランニングの場合、実際には2階リビングでそこが生活の基点になる間取りが多いでしょうから、一度に上り下りする階数は1階分の場合がほとんどではないでしょうか。
階段では上げられない家具、完成前に入れたほうがいい家具もあるかも
ピアノみたいな大きなものを持っている人は要注意かもしれないです。狭小住宅では竣工前に入れないと入らないなどというケースもあるかもしれません。
誰でも持っているレベルになると冷蔵庫とベッドマットレスでしょうか。
冷蔵庫を買い替えたら階段を上げられなかったなどという話はよく聞きますし、大きなマットレスも折れ曲がらないので階をまたいでは移動できないかもしれません。
でもこれは狭小住宅だからとか3階建てだからとかではなく、一般的なサイズの住宅ではよくある話です。
我が家は寝る場所を移動したくなったので、もとあるマットレスを捨てて三つ折りできる薄めのマットレスに変えました(ベッドのフレームも捨ててマットレスだけ直置きです笑)
プラスのコストはプラン実現のための必要経費
3階建てはコストがかかる。これは確かに真実なのですが(階数が増える分建築コストが上がる、木造は3階建以上で構造計算が必須)、プラスの費用で得られるものがあるのであればデメリットと言うまでではないと思います。
3階建てのいいところは?
なにやら悪者にされがちな狭小3階建てですが、住んでみていいなと思ったこともけっこうあったので書いておきますね。
- プライバシーが守れる
- 空間のメリハリがつく
- 高さを生かして広い空間を作ることができる
- 生活しているだけで自然に運動できる
- 猫の上下移動にはもってこい!
プライバシーが守れる、空間のメリハリがつく
階数が増えることで階自体が個室の役割を果たすことにもなります。
我が家の場合は1層の面積が狭いのでその中で扉や壁を付けて空間を区切ったりはしていません。そうなるとプライベート空間というのはどうしても作りづらくなるのですが、層が多数あれば、ひとりになりたいときは別の層に移動することで完全ではないですが一人でいる場所を確保することができます。
高さを生かして広い空間を作ることができる
床面積が狭い狭小住宅はどうしても横方向の視界が狭く窮屈になりがち。そこに1階と2階、あるいは2階と3階をつなぐ吹き抜けを取り入れれば、縦方向に空間の広がりを出すことができます。
床が狭くても空間が広いというだけで、意外と窮屈さは感じにくくなるものです。
同じ床面積でも、吹き抜けありの3階建てと、吹き抜けなしの2階建てだと、前者のほうが広く感じると思いますよ。
生活しているだけで自然に運動できる
これだけで「運動」と言えるほどのものではないと思いますが、ないよりはあったほうがいいですよ。ただ生活をしているだけでもちょこっと健康にいいとなれば素敵ですよね!
運動したくなったら階段を速く何往復かするといいよ!ジムいらず!
猫の上下移動にはもってこい!
天然?のキャットタワーですよ!
3階建てで後悔しないためにおすすめしたいこと
階段の使い勝手を工夫する
階段を「使える階段」にしておくことで、3階建ての住みやすさはぐっと上がるはずです。
- 基本的な性能(上り下りのしやすさ):段の高さ、幅、奥行き、手すり、材質など
- 機能性:設置場所、荷物の上げ下ろししやすさ、掃除のしやすさなど
- プラスアルファ:採光、通風、収納、居場所としての使い道
仕様が違うだけで階段ってすごく使い勝手が変わります。
わたしの実家は最小スペースで階段を作ったからか急で踏み込み板の奥行も狭く、板もツルツルで滑りやすい。健康な私でも昇りづらいなって思う階段でした(住んでるときは気づかなかったけど)
生活動線を見極め、間取りを工夫する
部屋の配置が生活動線・家族の生活リズムと合っていないと、無駄な行き来が増えてストレスや疲労の元になります。設計段階でストレスの元は取り除いておくほうが良いでしょう。
以下は私が実際に住んでこうしておいてよかった、こうしておけばよかった、と感じたポイントです。
- 寝室とトイレは同一階に配置する
- 脱衣場・洗濯機・物干し場は同一階に配置する
- 滞在時間の長い部屋を2階に配置する
また、住んでから「ここは違ったな…」と思うこともちらほら。がちがちに用途を限定した間取りにしてしまうと使わない部屋ができてしまったりもします。住んだあとでも用途を変えられるようなゆるい間取りにしておくと後悔も少ないでしょう。
我が家では設計時1階に寝室を置いていたのですが、寒くて…。
今は3階のロフトスペースを寝室にしています。それも季節によって移動したり。
2階建てだと予備スペースはなくてこうはいかなかったかも。むしろ3階建てでよかった!
我が家が採用した間取りについて書いた記事もあるので合わせて読んでみてください!
住む人の柔軟さがあれば3階建てに後悔することはない
3階建てによるデメリットとメリットについてお伝えしてきましたが、個人的に私は3階建てにしてよかったなと思っています。(もちろんお金はかかってしまったけれど、それに見合う恩恵は十分もたらされていると思います)
もちろん合う合わないは人それぞれですが、現段階で階段の昇り降りに支障がある、という方以外は特に心配することはないんじゃないかなと私は思います。
3階建てについてもそうですが、狭小住宅に住むということ自体、日々柔軟な考え方が必要とされてくる作業です。
必要な部分だけを取り入れて小さく暮らす、不都合があれば住みながら都度見直していく、そのような考え方をしていける方であれば、3階建てに後悔するということはまずないと思いますので、安心して選択していってくださいね。